言語の著作物

【ざっくり説明すると…】


→肖像権侵害は犯罪行為とはいえない


→授業そのものが「言語の著作物」


→それを録画するのもSNSにアップロードするのも

原則としてダメ、犯罪です!



先日、テレビ番組で、

日常生活の中でうっかり

やってしまいそうな行為が

有罪になるのか

無罪になるのかについて、

僭越ながら

解説させていただきました。


事例がたくさんあり

放送では解説しきれなかったので

各事例について何回かに分けて、

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。



今回は

「大学の授業を録画して

SNSにアップロードしたら

罪になるのか」です。




まず、前提として

民事責任と刑事責任の違いを

説明します。



法律上の責任には

民事責任(≒弁償をする)と

刑事責任(=犯罪行為になる)、

大きく分けて2つあります。


この2つは

どちらか1つだけ責任を負う、

というわけではありません。


2つとも責任を負う場合もあれば

1つだけ責任を負う場合もあります。




たとえば、

コンビニで万引きしてしまった場合

万引きをしてしまった人は

コンビニに対してお金を

弁償をしなければいけないですね

それが民事責任です。


それとは別に

万引き行為は「窃盗罪」なので

犯罪行為をしたことの責任として

国に対して罰金を支払ったり

刑務所に行ったりすることになります。


ですので、もし万引きをしたら

コンビニに対して弁償もするし

国に対して罰金を支払う必要が出てきます。




さて、

授業の録画映像をアップロードした場合に

話を戻します。



よく、勝手にカメラで

自分の顔を撮影されて

ネットにアップされてしまうことで

皆さんが言うするのが

「肖像権侵害だ!」

という主張ですね。


この、肖像権

(=自分の姿を公開されたくない権利)

は、あくまで民事責任の話です。


「肖像権侵害だ!犯罪行為だ!」

ということには

(一般論では)ならないんですね

ですので、

このブログをご覧になっている方々には

「肖像権侵害は、犯罪ではない」

ということをご理解していただきたいと思います。



では、

まったく犯罪にならないのか、というと

そんなことはありません。


いわゆる「著作権侵害」です

(著作権については

過去のブログをご参照ください)。



大学の授業や講演会というのものは

喋っている言葉そのものが

「言語の著作物」(著作権法10条1項1号)

に該当することになります。


この「言語の著作物」である授業を、

他の人にも広めようとして

録画(=コピー)すること自体、

著作権侵害となります。


また、録画映像をSNSなどの

インターネット上に

アップロードすることも

著作権侵害 となります。


ですので、

アップロードして収入を稼ぐ

といった、お金目的かどうかは

まったく関係がありませんので

注意が必要です。



ちなみに、よくあるのが

ご自分のお子さんの

文化祭などの録画映像を

SNSにアップロードされているケースです。


文化祭など演目も

厳密にいれば

「著作物」になるモノが多いので

録画もSNSアップロードもアウトになります。笑

注意してくださいね

私的使用目的の場合を除く。)




大学の授業を録画して

SNSにアップロードしたら

罪になってしまう理由

ご理解いただけましたでしょうか。 


次回は 「他人の無線LAN(Wi-Fi)を

内緒で利用したら罪になるのか」について

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。











Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓