電気窃盗

【ざっくり説明すると…】


→形のない電気も財産


→お店側が充電することを許しているかがポイント


→何回も無断で充電すると逮捕されるかもしれません



先日、テレビ番組で、

日常生活の中でうっかり

やってしまいそうな行為が

有罪になるのか

無罪になるのかについて、

僭越ながら

解説させていただきました


 事例がたくさんあり

放送では解説しきれなかったので

各事例について何回かに分けて、

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。




今回は 「無断で飲食店のコンセントで

充電したら罪になるのか」です。



考えるべきポイントは

・電気は財産といえるのか

です。


おそらく、ケータイを

1回フル充電したとしても

その電気の料金は

1円にも満たない金額です。


飲食店の損害としては大したことありませんので

「勝手に電気を使いやがって!」

と言って損害賠償請求してくることは

おそらく、ないと思います。


問題は

勝手に充電をすることが

罪になるかどうか。



まず、無体物(むたいぶつ)

について説明します。


光や熱、などのエネルギーは

それ自体が

物質として形がありませんよね。


わかりやすく説明するために

簡略化しますが

この“物質として形がないモノ”を

無体物といいます。


「音」や「情報」それ自体も

“物質として形がないモノ”ですので

無体物になります

(音が記録されているCD自体は

物質として形がありますので

CDそのものは“有体物”です)。


刑法の基本的な考え方として

この熱エネルギーや光エネルギーなどの

“物質として形がないモノ”は

財産として考えないことになっています。


ですので

エネルギーそのもの、

音そのもの、

情報そのもの、

を盗んでも

刑法的には罪にはなりません

これが基本的な考え方です。



ただし、刑法が作られた当時から

「電気」というエネルギーそのものは

それ自体に価値があることは

誰しもが知っていました。


その価値のある「電気」を

盗んだのに罪にならないのは

おかしいだろう、と学者の人は考えました。



ですので、刑法は例外的に

エネルギーのひとつである

「電気」だけは

財産と考えることにして

(刑法245条)、

この電気を盗んだ場合には

窃盗罪になることにしました。




ですので

無断で飲食店で充電すると

罪になってしまう可能性があります。



ただ、現在はスマホやパソコンは

生活必需品になってしまっており

電池が残り少ないと困ってしまいます。


ですので、飲食店側が

「ご自由に充電してください」

といった感じで

コンセントを用意しているのであれば

充電してもOK、ということになります。


よく空港や新幹線内

喫茶店などでも

座席から

わざわざ見やすいところに

コンセントが設置されていますよね

あれは

「どうぞご自由に充電してください」

ということなんだと思います。



ですが、コンセントが

手が届きにくいような場所にあるところは

飲食店側も

お客さんに充電してもらうために

コンセントを設置したわけではないですよね

あの場合は

無断で充電するのは

ダメだということになります。


あとはコンビニなどで

お湯ポットのためのコンセントなのに

それを外して充電をするなども

コンビニ側が充電をOKしていないのは

明らかなので

この場合も罪になります。



そして、その充電の

時間や回数が多い場合には

悪質性があるとして

警察が逮捕することもありますので

注意が必要です。


ですので、どうしても充電したくなった場合には

事前に飲食店側に了解をもらうことが

大事になってきます。




無断で充電したら罪になってしまう理由

ご理解いただけましたでしょうか。



次回は 「奥さんのへそくりを

勝手に使ったら罪になるのか」

について

わかりやすい言葉で噛み砕いて説明したいと思います。