侮辱と名誉棄損

【ざっくり説明すると…】


→侮辱罪は名誉棄損罪よりも刑罰が軽い


→侮辱罪は単なる“意見・感想”にすぎない場合でも

犯罪が成立する


→侮辱罪は“例外的に許される条件”というものがない



前回の続きです。


前回は、

“名誉毀損の条件を満たすけれど

例外的に犯罪にならない”ケースがある

ということについて説明しました。


今回は

名誉毀損罪と似ている

「侮辱罪」との違いについて

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。




名誉毀損罪(刑法230条)の

次の条文が

「侮辱罪」(ぶじょくざい)

(刑法231条)です。


“侮辱”って、簡単にいえば

“人格をバカにすること”ですから

“相手の名誉を傷付ける”という

名誉毀損と

違いがイマイチわからないですよね。


ただ、

名誉毀損をした場合は

「1ヶ月~3年の間で

裁判所が決めた期間、

刑務所に入ってください

または

1万円~50万円の範囲で

裁判所が決めた金額の

罰金を払ってください」

であるのに対し、


人を侮辱した場合は

「1日~29日の間で

裁判所が決めた期間、

刑務所に入ってください

または

1000円~9999円の範囲で

裁判所が決めた金額の

お金を払ってください」

となっています。


ですので

刑罰の重さが全然違うんですね

侮辱罪のほうが圧倒的に軽いです

(ですので、

侮辱罪のみで逮捕、というケースは

あまりないと思います)。



この2つの違いは

発表する内容が

“事実(真実でも嘘でもOK)”

であるかどうか、です。


侮辱罪は

“事実”の発表じゃなくても

犯罪が成立します。


前々回の記事でも説明しましたが、

名誉毀損罪のほうは

“具体的な事実

(真実でも嘘でもOK)”

を発表する必要があります

ですので

単なる“意見・感想”にすぎない場合、

たとえば

「アイツは性格が悪いー!」

「この店の料理はマズイ!」

みたいな発言では

名誉毀損罪は成立しません。


他方で、侮辱罪は

“事実”を発言しなくても

犯罪となってしまいます。


「性格が悪い」「料理がマズイ」って

“事実”じゃないんですよね

発言した人の意見・感想だったり

相手をどう思っているのか、といった

「フワっとした評価」にすぎないんです

(違いが曖昧な場合もありますが…)。



この違いがありますので

発信・発表する内容が

“事実”なのか、“意見・感想”なのか

確認してみてください。


ちなみに、

前回の記事で説明した

“例外的に犯罪にならない条件”

というものは

侮辱罪にはありません。




以上、

人の名誉を傷付けてしまう場面について

説明させていただきました。


今はSNSでの発信が簡単になりましたので

トラブルも多く

たくさんの相談を受けます。


安易に他人の評価を下げる発信をしてしまうと

刑事事件だけではなく

慰謝料の弁償などの

民事事件に発展してしまう可能性があるので

注意してくださいね。




 なるべく難しい言葉を

使わないようにと心掛けるがあまり

逆にわかりにくくなって

しまったかもしれません。 


 また、専門家の方、

法律の勉強をされている方にとっては

あまりに稚拙で言葉足らずで

説明不足であることも

重々承知しております。


ただ、このブログのコンセプトは

まったく法律を知らない方にとって

少しでも興味を持っていただく

きっかけになればと思い

始めたものですので

どうかご容赦いただけばと思います。


Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓