名誉棄損の例外規定
【ざっくり説明すると…】
→条件①:多くの人のとって知っておきたい事実であり
→条件②:その事実を発表する目的が 多くの人に利益・メリットを与えるためであり
→条件③:その事実が 本当の内容であることを証明すれば
例外的に名誉を傷付けてしまっても許されます!
前回の続きです。
前回は
具体的にどのような場合に
名誉棄損罪が成立するのか
説明させていただきました。
今回は
“名誉毀損の条件を満たすけれど
例外的に犯罪にならない”
というケースについて
わかりやすい言葉で
噛み砕いて説明したいと思います。
さて、
名誉毀損罪の条件を満たすので
本来は有罪なんだけど
例外的に許される場合があるんですね。
なぜかというと
「相手の名誉を傷付けちゃうかもしれないけど
この内容はどうしても伝えたい!」
という「表現の自由」にも配慮しなければならないんですね。
その両者のバランスを図るために
例外的に
相手の名誉を傷付けてしまうことも
認められることがあります。
刑法230条の2に
書いてあります。
例外的に許される条件は、
(1)多くの人のとって知っておきたい事実であり、
(2)その事実を発表する目的が
多くの人に利益・メリットを与えるためであり、
(3)その事実が
本当の内容であることを証明すれば、
その事実の発表が
たとえ、相手の名誉を傷付ける内容であっても
許される、ということなんですね。
たとえば、ある事件や事故で
犯人が逮捕されたとしましょう。
そしたらニュースで
「○○さんは逮捕されましたー!」
って報道されますよね。
コレって、報道の内容によっては
その逮捕された人の
名誉を傷付けているコトにも
なっちゃいますよね。
まだ、裁判になってないので
有罪になるのか無罪になるのか
わかりません
逮捕された人にとっては
ツライですよね。
でも、TV局によるニュースのおかげで
視聴者は
「こんなコトがあったんだ、
自分も気をつけよう…」
とか
「こんな悲惨な事故があったんだ
ウチの家族も
ちゃんと話し合っておかなきゃ…」
って思うことができますよね。
つまり、多くの人にとって
(1)知っておきたい事実(ニュース)なんです。
あとは(2)、(3)を満たせばOKです
ただ、ニュース番組は
多くの人に利益・メリットを
与える目的で報道していますよね
だから(2)もOKになるでしょう
(これが、捕まった人の評価を
下げさせることが主目的であればダメです)。
また(3)も
逮捕されたコト自体は
本当の出来事ですからOKですね
つまり、
(全部じゃないですが)
ニュース番組で
「犯人逮捕!」の報道は
“名誉毀損罪の条件を
満たす可能性があるんだけど
例外的に許される”
ということになります。
あとは
政治家のスキャンダルですね。
政治家は、選挙で選ばれた
私たちの代表です
なので、政治家には
ちゃんと仕事をしてもらわないと困るし
選んだ側である私たち国民は
政治家がちゃんとしているのか
知っておきたいし
政治家に関するニュースを知ることは
私たちにとって
利益・メリットがありますよね
(つまり(1)、(2)はOKになります)。
ですので
ニュースの話題が
本当の出来事であれば、
“名誉毀損罪の条件を
満たす可能性があるんだけど
例外的に許される”
ということになります。
このように
「名誉毀損だー!」
「いやいや表現の自由だー!」
といった感じで意見がぶつかるときは
両方の主張を聞きながら
例外的に許される状況かどうか判断して
バランスを図ろうしているんですね。
なので
相手の名誉を傷付けるような発言・文章を
どうしても発信したい場合には、
この3つの条件を問題なくクリアできているのか
しっかり考えないと
取り返しのつかないことになってしまうので
注意してくださいね。
名誉棄損罪、なんとなくイメージができましたでしょうか。
次回は、似たような犯罪である
侮辱罪との違いについて
わかりやすい言葉で
噛み砕いて説明したいと思います。
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