説明義務

【ざっくり説明すると…】


→説明する義務というのは

お店にとってメインの責任ではない

あくまで“おまけ”


→他方で「説明してくれれば

契約しなかったよ!」ということもある


→その場合には具体的な事情をもとに

弁償を請求するのが一般的

(例外的に解除もできます)



先日、Twitterで

このようなご質問を頂戴しました。



このご相談を頂戴して

なかなかヒドイお店があるなぁと

思っていましたが

説明不足で

トラブルになっているケースって

よく見かけるんですね。


「説明責任を果たせ!」なんて聞くと

政治家さんだけの

問題のような気がしますが

今回は「説明責任」が

法律的にどのような意味を持って

約束事や契約に

どのような影響を及ぼすかについて

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。




「説明責任」「説明義務」とは

言葉のとおり

相手に事情を説明する義務のことですね。


“義務”なので

絶対に説明をしなければいけない、

ということです。


しかし、「説明義務」という

大きい責任が発生してしまう場面は

なかなかありません。




たとえば、身近なところでいうと

レストランに行ったときのことを

思い出してみてください。



レストランで注文したメニューを

店員さんが運んできてくれたときに、


「コチラは〇〇産のお肉です」


「〇〇年間熟成させたワインになります」


「デザートのお皿に添えてあるのは〇〇です」


みたいに丁寧に説明されることがありますよね

(そんな高級レストランに

私はあまり行ったことないですが…)。



もし、このような

メニューに関する説明をしてくれなかったとき

「説明がなかった!ふざけるな!お金を返せ!」

と言えるでしょうか?


無理ですよね。笑


なぜなら

お客さんは基本的に

“食べ物に対してお金を支払っている”

のであって

“説明してくれることに対して

お金を支払っている”ワケではないからです。


この事をレストラン側から見ると

レストランとしては

お金をもらう以上、

“食べ物を提供する義務”はあるけど

“どういう食べ物かを説明する義務”

はないんですね。


このように

モノを買ったり

家を借りたりするときは

(一部例外はありますが)

お店側は

“モノを渡す義務”

“家を使わせてあげる義務”

はあるものの

“説明する義務”まではないんです。


説明は、その契約を進めるにあたって

おまけ・サービスくらいの感じに

とどまってしまうんですね。



ですので、

説明がなかったことを理由に

その契約そのものを

全部ナシにすることは

基本的にはできないんです。




でも、他方で

「最初から説明してくれていれば

そもそも買ったり、注文したりしなかったよ!」

というケースもあったりしますよね。



こういった場合は

・説明してほしかった内容

・説明をすることが必要であったこと

(契約するか決める上で説明が重要であること)

・説明がないことにより被害を受けた事実

・その被害額など

様々な事情を理由として

お店側に「説明義務があった!」として

弁償を請求していくことになると思います。



ですので、説明することは

(モノを渡すなどの)

メインの義務ではないですが

サブの(必要不可欠な)義務として

認められれば、

説明義務違反を理由として

弁償を請求することも可能です。

(ケースによっては

契約そのものを全部ナシにすることも可能です)。




ちなみに裁判例では

お客さんがマンションを購入するにあたり、

「防火扉に関する説明をしてくれなかった場合」

「隣に別のマンションが立つので

眺めが悪くなる、という説明をしてくれなかった場合」

について

説明義務違反を認めたものがあります。




いまはお客さんが過敏になっているのもあり

説明をちゃんとしないと

あとでクレームが来てしまうことも多いですね

(もちろん、Twitterの内容では

お店側の方が悪い気がしますが…)。


ですので

しっかりと対策を取りつつも

どこまでが

お金をもらったことに対する義務で、

どこまでが

あくまでお店側のサービスにすぎないのか

キチンと線引きをして

それを明確にしることができるように

ホームページなどで書いておくことが

大切なのかなと思います。




なるべく難しい言葉を

使わないようにと心掛けるがあまり

逆にわかりにくくなって

しまったかもしれません。

また 専門家の方、

法律の勉強をされている方にとっては

あまりに稚拙で言葉足らずで

説明不足であることも

重々承知しております。

ただ、このブログのコンセプトは

まったく法律を知らない方にとって

少しでも興味を持っていただく

きっかけになればと思い

始めたものですので

どうかご容赦いただけばと思います。


Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓