過失傷害


【ざっくり説明すると…】


→ケガをしたとき、

相手に慰謝料を請求したり、被害届を出すためには

相手の行為に「過失」(=落ち度)が必要


→魚の骨でケガとしたときには

レストランに落ち度を認めるのは難しい…


→「この魚料理、絶対に骨がいないです!」

と説明していた場合には、罪になるかも…



先日、Twitterで このようなご質問を頂戴しました。



ご相談者様がおっしゃるとおり、

「コレって法律的には、どう考えるんだろう?」

と疑問に思うことってありますよね。


今回は、

このご質問の内容に書かれている

“罪になるのか”という点と、

“慰謝料の相場”とう点について

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。




まず、

「食事中に魚の骨が刺さってケガをしたら

レストラン側は犯罪者となるのか」

という刑事責任についてです。



考えられるのは

過失傷害罪(かしつしょうがいざい)

(刑法209条)だと思います。


簡単にいえば

“間違えて”相手にケガをさせてしまった

ということですね。


反対に

“わざと”相手にケガをさせた場合には

傷害罪(刑法204条)となり

こちらのほうは

めちゃくちゃ罪が重くなります。



レストラン側は

わざとお客さんに

ケガさせようとしているわけではないですよね

ですので傷害罪は成立しません。


では、

レストラン側は

“間違えて”相手にケガをさせてしまった

といえるのでしょうか。


つまり

レストラン側に

“落ち度”があるといえるのでしょうかね?



たとえば、何百匹もの魚を調理して

できる限り骨を取ったりすると思いますが、

すべての魚の骨を

1本残らず取り除くのは

難しいと思うんですね。


そこまでレストラン側に要求するのは

かわいそうだと思うんです。


それにもかかわらず、

「骨が残っていた!」

「そのせいで口をケガした!」

「だから犯罪だ!」

といって

レストラン側に“落ち度”を認めてしまうと

おそろしくて

料理を提供することなんかできないですよね。


ですので、

レストラン側に

過失傷害罪を追及するのは

相当難しい感じがします。



反対に、

たとえばレストラン側が

料理を出してくれるときに、


「魚の骨はまったく残っていません!」


「コックさんがすべて取り除きました!」


「だから絶対に大丈夫!」


「さぁ!まるごと食べちゃってください!」


なんて説明を(するわけないですが)

してしまっていたら、

それは

“骨が1本も残っていない魚料理”

をお客さんに出すはずだったのに

それができずに、

結果としてお客さんにケガをさせてしまっているので

それは、レストラン側に

“落ち度”があると思いますので

過失傷害罪が成立する

可能性はあるのかな、と思います。



さすがに、そのような説明を

レストラン側がすることは

あまり考えられないので

レストラン側は罪にはならないと思います。



次回は

もし、レストラン側が

責任を負うことになった場合の

慰謝料の相場について

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。


Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓