宿泊先での偽名使用

【ざっくり説明すると…】
 
→刑法159条3項の
「私文書偽造罪」には
該当しないけど…

→旅館業法という法律で
有罪となってしまう

→宿泊ホテル名簿に関してなので
ファミレス受付表で偽名を書いても
有罪にはなりません



先日、テレビ番組で、
日常生活の中でうっかり
やってしまいそうな行為が
有罪になるのか
無罪になるのかについて、
僭越ながら
解説させていただきました。
 
事例がたくさんあり
放送では解説しきれなかったので
各事例について何回かに分けて、
わかりやすい言葉で
噛み砕いて説明したいと思います。

 

 

 

今回は 「宿泊ホテルで
偽名を使ったら罪になるのか」です。




さて、「偽名を使う」というと
まず最初に思い浮かぶのが
刑法159条の
「私文書偽造罪」
(しぶんしょぎぞうざい)
だと思います。

この私文書偽造罪でいう
「私文書」というのは、
簡単に言ってしまうと
“重要な書類”を偽造したときに
処罰するためのものです。

宿泊ホテルの名簿は
“重要な書類”とまではいえないので
私文書偽造罪には該当しません。



では無罪になるのか、というと
そんなことはありません
バッチリ有罪になってしまいます。



これはもう、
「旅館業法」
(りょかんぎょうほう)
という法律に
正解が書いてあります。


旅館業法によると、

(1) 宿泊する人は、
宿泊ホテル側から
「お名前やご住所を教えてください」
とお願いされた場合には
ちゃんと教えなければいけません

(2)  偽名を使った場合には

1ヶ月未満で裁判所が決めた期間、

刑務所に入って働いてください

または

1万円未満の範囲で

裁判所が決めた金額の罰則金額を払ってください


となっています。


なぜ、
本名を書く必要があるかというと、
例えば宿泊ホテル先で
火事などの災害や
食中毒事故が起こってしまった場合、
宿泊者が誰なのか
きちんとわかっていないと
ご家族に対しての連絡等が
全然できないですよね。

なので、本名を書くことを
お願いしているらしいです。


あとは、仮にテロなどの事件が
起こったとき、
犯人の特定につながりやすいという
メリットなども
実際はあるんだと思います。


ですので、きちんと
本名を書かないと
処罰されてしまいますので
注意してください。




「えっ!?本名を書かないと
罪になっちゃうの!?
どうしよう!
私、ファミレスの受付名簿に、
冗談のつもりで
『アリアナ グランデ』
って書いちゃってたのよ…!」

「マジかよ!?
俺もずっと『ジョニー デップ』って
書いちゃってたよ…!
ほんのジョークだったのに!
俺、逮捕されちゃう…!」



…ご安心ください
この法律は、あくまで
宿泊ホテル名簿などに
偽名を書いちゃった場合です
ファミレスなどの受付名簿は
これとは違います。

ですので、安心して
その大きい志のまま、
海外セレブを名乗ってください!
(ただ、やりすぎると
「偽計業務妨害罪」になるかも…)




宿泊ホテルで偽名を使ったら
罪になってしまう理由
ご理解いただけましたでしょうか。
 
次回は
有罪か無罪の話ではないのですが
ちょっと趣向を変えて、
「お墓って
遺産として考えていいのか」
について
わかりやすい言葉で
噛み砕いて説明したいと思います。