信書開封
【ざっくり説明すると…】
→間違えて開けちゃった場合は 犯罪をする意思がなかったので無罪
→場合によっては慰謝料などの お金を請求される可能性はある
→わざと開けたとしても
中身が写真なら無罪です
先日、テレビ番組で、 日常生活の中でうっかり やってしまいそうな行為が 有罪になるのか 無罪になるのかについて、 僭越ながら 解説させていただきました。
事例がたくさんあり 放送では解説しきれなかったので 各事例について何回かに分けて、 わかりやすい言葉で 噛み砕いて説明したいと思います。
今回は 「間違えて他人の郵便物を 開けてしまったら 罪になるのか」です。
他人の郵便物を 勝手に開けてしまった場合の 法律があります 「信書開封罪」 (しんしょかいふうざい) というものです(刑法133条)。
手紙の内容は 他の人には 知られたくないだろうから、 それを秘密の情報として 保護する、ということになります。
「信書」というのは 特定の人に宛てられた 文書、手紙のことですね。
信書開封罪というのは、
(1)手紙などの文書が入った封筒を
(2)ちゃんとした理由がないのに
(3)開けちゃった場合、
(4)1ヶ月~1年の間 裁判所が決めた期間、 刑務所に入って働いてください
または 1万円~20万円の範囲で 裁判所が決めた金額の 罰金を払ってください
というものです。
この犯罪は 「これは私の郵便物じゃない」 と分かっているにもかかわらず 開けてしまった場合に 成立します。
ですので、 間違えて開けてしまった場合には 犯罪をしようという意思が ないので 今回のケースでは 無罪、ということになります
(犯罪には故意が必要、というのは 以前、このブログで説明しました)。
ただ、間違えて開けた場合でも 損害賠償などの民事責任を 負う可能性はありますので ご注意ください。
この犯罪は、手紙などの 文書が入っている封筒を 開ける場合を想定してますので、 たとえば、宅配便の小包みや 写真が入っている封筒を わざと開けたとしても 罪にはなりません
(損害賠償などの民事責任を 負う可能性は高いです)。
また、封筒は 閉じられている必要があります
クリップやヒモで 押さえされているだけの場合には 開けたとしても罪にはなりません。
あと、子供に宛てられた手紙を、 親が親権者の立場として 開封する場合は 悪いことを やっているわけではないので 罪にはなりません。
他方で、たとえば 夫婦ゲンカした奥さんが 別居しているにもかかわらず 旦那さんが勝手に 奥さん宛ての手紙を 開封してしまった場合、 たとえ 家族間の問題であっても 犯罪が成立する可能性があります。
ですので、 「家族のだから 開けてもいいか!」 ということにはなりませんので 気を付けてくださいね。
ちなみに、この犯罪は 「親告罪」(しんこくざい) といって 被害者が警察に 「アイツを逮捕して!」と 言わない限り 警察は捜査できません。
捜査をすることで その手紙の内容が 広まってしまう可能性もあり かえって被害者がツライ思いを してしまう可能性があるためです。
間違えて他人の郵便物を 開けてしまっても 罪にならない理由 ご理解いただけましたでしょうか。
次回は 「我慢の限界で
女性が男性トイレに入ったら
罪になるのか」について
わかりやすい言葉で
噛み砕いて説明したいと思います。
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