意匠登録

【ざっくり説明すると…】 


 →デザイン自体は著作権では保護されない 


 →意匠登録をして初めて法律の保護を受ける 

 (お金がかかります) 


 →不正競争防止法や商標法などで 保護される場合もあります 



 先日、テレビ番組で、 

日常生活の中でうっかり 

やってしまいそうな行為が 

有罪になるのか 

無罪になるのかについて、

 僭越ながら 解説させていただきました。


 事例がたくさんあり 

放送では解説しきれなかったので

 各事例について何回かに分けて、 

わかりやすい言葉で 噛み砕いて説明したいと思います。 


 今回は 

「他人のデザインをパクって 

洋服を作ったら罪になるのか」です。 


 デザインそれ自体って 法律で保護されるんでしょうか。

 もし、まったく保護されなかったら 

有名デザイナーの作品を パクリ放題ですよね。笑


 結論から言うと

 登録申請が認められなければ

 デザインは保護されません パクリ放題になります。 


 まず、 著作権はどうなんでしょうか。

 おさらいですが 著作物といえるモノが 

著作権法で保護されることになります。


 この著作権というものは、 

著作物を創作した時点で 

なんの申請もしなくても 

自然に発生する権利です。


 じゃあ、デザイン自体が

 著作物といえるかどうかですが、

 素人だろうが 有名なデザイナーだろうが、

 基本的に著作物とはいえません。 


 もちろん 作ったデザイン自体が 

誰も思いつかないような

 「ものすごい芸術的な1点モノだ!」

 という最高レベルに達していれば 

「美術の著作物」として 

保護されることはあります。


 ですが、デザインが 

「オリジナリティーに富んでいるね」

 くらいのレベルくらいであれば、

 たとえ有名デザイナーの作品であっても 

それは著作物とはいえず 著作権法上の保護は受けられません。

 ですので デザインそのものを 

著作権法で保護するのは ほとんど不可能です。 


一生懸命デザインを考えたとしても 

最高レベルじゃなければ

 パクリ放題となってしまいます。笑


 でも、それだと やっぱり困りますよね。  

プロデザイナーが一生懸命

 考えたアイディアが 

簡単にパクられてしまったら 大変です。


 そこで、次に登場するのが 

「意匠法」 

(いしょうほう)になります。


 意匠法というのは

 デザインをマネされたくない場合、

 そのデザインを 

特許庁に登録申請することにより

 第三者からパクられるのを

 防ぐことができる というものです。 


 著作権は 著作物を創作した時点で

 自然に発生しますが、 

意匠権は 登録して初めて

 認められる権利になります。  


その意匠権は 登録してから20年間だけ

 保護されることになります 

登録のためには 1年ごとに登録料 

(8,500円〜16,900円) がかかります。 


 ですので、 

有名デザイナーは 意匠登録しない場合、

 自分が考えたデザインを 

パクられてしまうことになります 

(パクる内容・態様によっては

 不正競争防止法で 保護されることもあります)。 


 ですので、デザイナーの方は

 デザイン自体を意匠法で保護し、 

ロゴマークなどの目印となるモノは 商標法で保護するなどして、

 自分のアイディアに法律上の権利を

 与えることによって 盗作されないようにしているわけです。


 自分のデザインに関して 何も登録申請していないと、

 あとからパクられても 

文句を言えなくなってしまいますので

 注意が必要です。 


 他人のデザインをパクって

 洋服を作っても 罪にならない理由

 ご理解いただけましたでしょうか。 


 次回は 

「誤って他人の郵便物を

 開けてしまったら 罪になるのか」について

 わかりやすい言葉で 

噛み砕いて説明したいと思います。

Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓