二次的著作物


前回の続きです。



前回は、他人の作品のコピーを

勝手に作成すると

違法になってしまうのが原則だけれども

個人的に使用する場合にOK、

という説明をしました。


今回は、既にある他人の作品を

自分なりにアレンジした場合の問題点について

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。




おさらいですが

著作物として認められる作品には

基本的に作り出した人に権利が発生します

具体的には

(1)同じ作品のコピーを作る権利

(2)作品を他人に見せる権利

(3)作品を他人に貸す権利

(4)作品にアレンジを加える権利

などです。


この(4)の

作品にアレンジを加える権利

(≒他人にアレンジをさせない権利)は

難しい言葉でいうと

翻案権(ほんあんけん)や

同一性保持権(どういつせいほじけん)

といいます(著作権法27条、20条1項)。


したがって

作者以外の第三者が勝手に、

例えばアニメキャラクターに

羽根を付け加えたり

尻尾を取ってしまったりして

「これは自分が考えた

オリジナルキャラクターだ!」

ということは

難しい、ということになります。


もちろん、元々の作者の了解がもらえれば

キャラクターに手を加えて

「二次的著作物」、

すなわち

“アレンジ作品”

として世に出すことは可能です。


もっとも、その“アレンジ作品”については

手を加えた第三者が

独占して権利を持つわけではありません。


“アレンジ作品”を作ることができたのは

元々のキャラクターがあったおかげです

ですので、元々の作者にも

“アレンジ作品”を作った第三者と

同一の権利が与えられます

(著作権法28条)。


元々の作者が得して

ちょっとズルイと思うかもしれませんが

ゼロから1を作った元々の作者は

本当に苦労してキャラクターを生み出したんだから

強く保護してあげようよ、ということなんだと思います。




反対に、第三者が加えたアレンジがすごすぎて

元々のキャラクターとは

まったくの別物と評価されるような場合

(=元々の作者の個性よりも

手を加えた第三者の個性が強い場合)は

もはや、“アレンジ作品”にとどまらず

第三者が作ったオリジナルキャラクターとなり

その第三者が権利を独占することになります。



ですので、

元々のキャラクターに第三者が手を加えた程度によって

・アレンジとはいえず、コピーに近い作品

(=複製権侵害)

・コピーとはいえないアレンジ作品

(=元々の作者に了解を得ていない場合は翻案権侵害)

・アレンジの域を超えたオリジナル作品

(=別個の著作物)

といった具合に、状況が変わってきます。




以上、

難しい著作権の基本的なところだけ

何回かに分けて説明させていただきました

詳細については

またの機会に説明できればと考えています。 

今回のブログも 「ちょさくけん???」 という方に向けて

さわりの部分だけしか書いていませんので

もし、真剣に考えなければ いけなくなった方は

ぜひ、お近くの弁護士に 相談してみてください。 




 なるべく難しい言葉を使わないようにと

心掛けるがあまり

逆にわかりにくくなってしまったかもしれません。 


また

専門家の方、 法律の勉強をされている方にとっては

あまりに稚拙で言葉足らずで

説明不足であることも 重々承知しております。


ただ、このブログのコンセプトは

まったく法律を知らない方にとって

少しでも興味を持っていただくきっかけになればと思い

始めたものですので

どうかご容赦いただけばと思います。

Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓