年金分割

前回の続きです。


前回は、離れ離れになった子供と 会う方法について 説明いたしました。 


 今回は年金分割、 すなわち 離婚の際に サラリーマンご夫婦の 年金をどのように分けるのかについて わかりやすい言葉で かみ砕いて説明したいと思います。


 離婚の際には 「年金分割」というものを 考えなければならない夫婦がいます。 


 この年金分割を説明する前提として まず、日本の年金制度について 説明します (年金の専門家ではないので 間違っていたらご指摘ください…)。 


 「年金」は 聞きなれた言葉だと思います 老後にもらえる (かもしれない)アレです。


 日本の公的年金システムは いわゆる“2階建て”であると よく説明されます まず1階部分は「国民年金」 そして2階部分が「厚生年金」です。 


 (厚生労働省のマンガ説明です) 国民年金は 基本的には20歳以上の人が 保険料を払い 老後に年金をもらうもの、 厚生年金は 会社勤めをしている人が 給料から保険料が引かれて 老後に年金をもらうもの です。 


 ですので会社員は 国民年金+厚生年金の 保険料を支払い、 自営業の人は 国民年金の保険料だけを 支払っています。 


 会社員のほうが 多く保険料を支払っている分、 老後に多くの年金をもらえる(かも) ということです。 


 離婚の際に考える「年金分割」は この2階建て部分である 厚生年金を分けることだと 思ってください。 


 そして 年金を支払っている人は 大きく分けると 3種類になります。


 ①国民年金 (1階建て)しかもらえない人 (=自営業の人) ②国民年金+厚生年金 がもらえる人 (=会社員、公務員) ③会社員・公務員(②) の配偶者 (専業主婦や パートで130万円未満しか 稼いでいない妻)


 このうち③の人は 年金保険料を支払っている 実感がないと思いますが 簡単に言うと 夫(②の人)が妻の分と併せて 2人分を支払っていると考える、 と思ってください。 


 つまり 夫が妻の分もまとめて2人分、 年金保険料を支払っているので 老後にもらえる年金も 夫と妻、2人のものと 考えているのです。


 しかし、離婚となった場合 夫婦2人のものと考えている 年金(をもらえる権利)を 別々に カウントしなければなりません。 


 そのシステムが 「年金分割」なのです。 


 よほどのことがない限り 分割の割合は 半分ずつ(2分の1)になります。 


 あと、 よく誤解されるのですが 年金分割によって 2人でもらえる年金の 金額自体が半分になる、 というわけではありません。


 あくまで 年金保険料を支払っていた記録 (年金がもらえる立場)が 半分になるものだと思ってください。


 具体的に どのくらいの金額になってしまうのかは お近くの年金事務所に お問い合わせしてみたり、 「年金分割のための情報提供通知書」 という書面を請求して ご自身の年金に関する情報を 把握してみてください。 


 この年金分割は 離婚をすれば勝手に役所が 対応してくれるものではありません 

基本的には離婚から2年以内に 年金をもらえる立場を主張したい人 (ほとんどが妻側だと思います)が 手続をする必要があるので 注意が必要です。


 以上、 離婚の際に 考えなければいけないことについて 何回かに分かって 説明させていただきました

 詳細については またの機会に 説明できればと考えています。 


 今回のブログも 「年金分割なんて言葉、 初めて聞いたよ」 という方に向けて さわりの部分だけしか 書いていませんので もし、真剣に考えなければ いけなくなった方は ぜひ、お近くの弁護士に 相談してみてください。 


 なるべく難しい言葉を 使わないようにと心掛けるがあまり 逆にわかりにくく なってしまったかもしれません。 


 また 専門家の方、 法律の勉強をされている方にとっては あまりに稚拙で言葉足らずで 説明不足であることも 重々承知しております。 


 ただ、当ブログのコンセプトは まったく法律を知らない方にとって 少しでも興味を持っていただく きっかけになればと思い 始めたものですので どうかご容赦いただけばと思います。

Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓