婚姻費用・養育費
前回の続きです。
前回は 離婚の際の子供の親権について ご説明しました。
今回は離婚の際の別居のときに よく問題になる 婚姻費用と養育費について わかりやすい言葉で かみ砕いて説明したいと思います。
まず話の前提として 法律での決まり事について 説明します。
結婚した場合、 夫婦には (1)基本的に同居する責任 (民法752条) (2)お互いに助け合う責任 (民法752条) (3)結婚に関する費用等を 分担する責任(民法760条) 等が発生します。
夫婦がお互い協力して 家庭を支えていこう、 ということですね。
今回、着目するのは この(3)です。 夫婦の関係に 亀裂が入ってしまったとしても 離婚するまでは夫婦ですので 結婚に関する費用等を分担する責任は ずっと背負わなければなりません。
この 結婚に関する費用等 (=婚姻費用)というのは わかりやすくいうと 生活費 だと思ってください。
離婚に関するルールとして 収入の多い夫(妻)が 収入の少ない妻(夫)に対して 生活費を渡さなければいけない ということになっています。
今の日本では 夫の収入のほうが多い家庭が 圧倒的に多いと思いますが、 例えば、妻が子供を連れて 家を出ていってしまった場合、 収入の少ない妻は 夫に対して 「(子供を育てる費用も含めた) 毎月の生活費をよこしなさい」と 主張することができるのです。
では、妻はどのくらいの生活費を もらえるのでしょうか。
具体的な事例として サラリーマン夫の収入:500万円 パート妻の収入:100万円 高校生の娘、小学生の息子 2人の子供は妻が育てる このケースで考えていきましょう。
表は 離婚調停や離婚裁判のときに よく使用される 生活費の算定表です
家庭裁判所のホームページ等から ご覧になることができます。
具体的なケースの場合 縦軸が収入の多い夫、 横軸が収入の少ない妻 となり、 それぞれ「給与」というところの 数字を確認します。
夫が500万円、妻が100万円なので 10万円~12万円のラインの 下のほうに位置します。
ですので、具体的なケースの場合 妻は夫に対して 約10万円を婚姻費用として 請求できるわけです
(勿論、お互い納得すれば それよりも多い金額を もらうことも可能です)。
次に、養育費です
養育費というのは言葉のとおり “(18歳未満の)子供を 育てるために必要な費用” ということになります。
イメージとしては 離婚をするまでが 婚姻費用(生活費)、 離婚をしてからが 養育費だと思ってください
名前が変わり、 少し金額が下がります。
表が養育費バージョンです。
先ほどの具体的なケースの場合 夫が500万円、妻が100万円なので 6万円~8万円のラインの 上のほうに位置します。
ですので、具体的なケースの場合 妻は夫に対して 子供2人の養育費として約8万円を 請求できるわけです。
当然、必ずこの算定表通りに なるわけではありません
例えば、 ・夫が住宅ローンを払っていて 渡す生活費が少ない場合 ・子供が入院をしていたり 大学進学中で22歳まで 学費がかかる場合 このような 個別具体的な事情を考慮して 金額の増減による解決が 行われていきます。
この婚姻費用や養育費については インターネットで検索すれば たくさん記事が出てきますので 色々ご参考になることが 多いと思います。
婚姻費用・養育費について ご理解いただけましたでしょうか。
次回は離婚の際に 離れ離れになってしまった 子供に会う方法について わかりやすい言葉で かみ砕いて説明させていただきます。
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