親権者変更
前回の続きです。
前回は 夫(妻)と離婚する際に 取り決めておかなければならない 色々なことについて ご説明しました。
今回はそのうちのひとつ 親権者について わかりやすい言葉で かみ砕いて説明したいと思います。
親権とは、読んで字のごとく “親としての権利”です
子供のことを養育したり 子供が行う法律行為に 同意(民法5条)したり、 親として振る舞う責任、のことです。
ここでいう「子供」とは 未成年(=18歳より下の年齢) のことを指します
(これまでは 20歳未満が未成年でしたが 法律が改正されて 成人年齢が引き下げられました 2022年4月から スタートになるみたいです)。
さて、離婚をする場合に よく問題になるのが この 「親権者」を夫婦のどちらにするのか という点です。
たとえば、夫婦2人とも 「あなたとは離婚しても構わないが 親権は自分がほしい」と思っていれば そもそも離婚はできません。
実際に離婚届を 見てみればわかりますが 離婚届には 親権者を夫婦のどちらにするか 記載する必要があります。
すなわち、親権者をどちらにするか 夫婦の間で決めていないと 離婚届を受理してくれないのです。
したがって、親権者をどちらにするか 話合いで決められない場合は 家庭裁判所に離婚調停を 申し立てる必要があります。
その離婚調停でも 親権者をどちらにするか 決められない場合は 離婚の裁判を しなくてはならなくなります。
ですので、お互いが 「離婚することはOKでも 親権について譲らない」 ということになると 離婚調停や離婚裁判で 1~2年の間、 がっつり戦っていくことになります。
さて、Twitterのご質問に戻ります。
これはあくまで私の感覚ですが、 親権について裁判所は (1)お母さん優先の原則 (2)現状の家庭環境維持の原則 この2つを大きな要素として 考えていると思っています。
(1)お母さん優先の原則とは 言葉のとおりで “お子さんの年齢が幼いほど、 母親が面倒を見たほうがいい” と考えているのではないかと 思います。
(2)現状の家庭環境維持の原則 というのは たとえば、妻(夫)が 相手に黙って子供を連れて 実家に戻ってしまった場合、 その実家に子供が生活している期間が 長ければ長いほど “せっかく慣れてきた子供の生活環境を むやみに変更させるべきではない” と考えているのではないか、 ということです。
もちろん お母さんが子供に暴力しているとか 子供の年齢が成人に近い場合など 例外となるケースは いくらでもありますが 親権に関していえば 「夫に無断で 子供を連れて出て行った妻が 圧倒的に有利である」 と思います。
旦那さんからしてみたら ひどい話だと思いますが 実際のところ、 これをひっくり返していくことは 相当大変です。
また、一度親権者を決めたあと それを変更したい場合には 家庭裁判所に 親権者変更の調停を 申し立てる必要があります。
しかし、 どういう理由であれ一度 親権者を決めたのであれば この変更手続が認められることは よっぽどの事情がない限り 不可能に近い確率だと思います。
ですので、 Twitterのご質問のケースのように 親権者を妻から夫に変更したい というのは 相当ハードルが高い手続なのです。
親権については妻が有利、 ということですので 旦那さんとしては (義父母含めて)妻がまったく 子供の面倒を見ない、 妻が子供に暴力を振るっている、 等の有力な証拠を揃えて 初めて同等に戦える、 くらいの感覚なのかな というのが正直なところです。
親権変更の現状について ご理解いただけましたでしょうか。
次回は離婚の際の
婚姻費用や養育費について
わかりやすい言葉で
かみ砕いて説明させていただきます。
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