ゴミ屋敷対策条例

先日、Twitterに このようなご質問を頂戴しました。 


 この種類の問題については 以前、テレビ番組で 僭越ながら 解説をさせていただきましたので 私自身の記憶喚起のためにも ご近所トラブルの対処方法について わかりやすい言葉で 噛み砕いて説明したいと思います。 


 ご近所さんの迷惑行為には 様々なものがあります。 


 ゴミ屋敷問題、 夜中の騒音問題、 猫やハトにエサをあげる問題… ご近所に住む方にとっては 落ち着いて生活を続けることができず どれも大変深刻な悩みだと思います。


 これらの迷惑行為は どのようにして 改善してもらえばよいのでしょうか。 


 まず、考えられるのは 警察に相談です。 


 しかし、 迷惑行為の程度にもよりますが 基本的に警察は動いてくれません おそらく、 みなさんが警察に相談しても 「民事不介入なので…」と 言われてしまうと思います。 


 「民事不介入」というのは “個人同士のトラブルには 警察は口出しできない” ということです。


 警察は、 その迷惑行為をやっている ご近所さんが 犯罪行為などをしてくれない限り 取り締まることができないのです。


 ゴミ屋敷のままにしておくことも 夜中に音楽を聴くことも 動物にエサをあげるのも いずれも犯罪行為ではないのです。


 ですので、警察としても 動きたくても動けない、 ということなのです。 


 ただし、騒音については あまりにもひどい爆音の場合、 暴行罪(刑法208条)が 成立する可能性があります。 


 また、警察に注意してもらい それでも 注意を聞かないご近所さんに対しては 静穏妨害罪(軽犯罪法1条14号)が 成立する可能性があります。


 警察に相談するということは まったく意味がない、 というわけではありません 

警察の人についてきてもらって 代わりに注意をしてもらうことにより 解決することが あるかもしれませんので 現状の大変さを 警察に相談しておくことは 大切かもしれません。


 さて、 “個人同士のトラブルには 警察は口出しできない” と言われてしまい 刑事責任を主張できない場合、 迷惑行為をやっている ご近所さんに対しては 民事責任を主張するしかありません。 


 すなわち ゴミ屋敷による異臭や 猫やハトなどの糞害により 自分たちの生活が 害されている、ということを 具体的に主張して 損害賠償(=お金)を請求したり 迷惑行為を差し止めるよう 請求をしたりするのが 一般的な方法かと思います。


 ただ、あくまでお金を請求する、 という手段なので ゴミ屋敷を片付けてもらうなど 根本的な解決には なっていないんですね。 


 そこで、検討するのが いわゆる“ゴミ屋敷対策条例” というものです。


 一部の市町村では この“ゴミ屋敷対策条例” というものがあって、 生活環境が良くないと 判断された建物については 市町村が 「ゴミをちゃんと捨ててくださいね」 と指導してくれます。


 それでも、 迷惑行為をやっているご近所さんが ゴミを片付けてくれない場合、 「代執行」といって “代わりに市町村が ゴミを片付けてしまい、 そのかかった費用を 迷惑行為をやっている ご近所さんに請求する” といった方法を取ることができます。


 これにより、もしかしたら ゴミ屋敷問題が 解決するかもしれないのです。 


 ですので、 警察や市町村を巻き込んで 多くの人が関わって、 現状を直していくことが必要です。 もっとも、 警察や市町村に 相談をするのが少人数だと なかなか動いてくれません。 


 そこで、警察や市町村に ちゃんと動いてもらうためには 1人ではなく、 ゴミ屋敷で同じように苦しんでいる ご近所さん同士でチームを作り しっかり、警察や市町村に対して 訴えかけていくことが大切です。


 以上、 迷惑行為をやっている ご近所さんの中には なかなか一筋縄ではいかない人も 少なくありませんし どのような仕返しを されるかわからない怖さというのも ゼロではありません。


 そのことも考えると 1人vs1人で戦うのではなく 1人vs複数人で こちらの主張をしていくことにより 仕返しを防いでいくのも 大切なことだと思います。 


 なるべく難しい言葉を 使わないようにと心掛けるがあまり 逆にわかりにくく なってしまったかもしれません。 


 また 専門家の方、 法律の勉強をされている方にとっては あまりに稚拙で 言葉足らずで 説明不足であることも 重々承知しております。


 ただ、本ブログのコンセプトは まったく法律を知らない方にとって 少しでも興味を持っていただく きっかけになればと思い 始めたものですので どうかご容赦いただけばと思います。

Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓