善管注意義務
以前、Twitterで このような質問を頂戴しました。
事実関係が間違っていたら 申し訳ないのですが、 おそらく、、、
ご相談者の経営する リサイクルショップに 品物(仮にゲーム機とします) を買い取ってほしいと希望する お客さんがきた ↓ ご相談者は ゲーム機を預かり、 お客さんは帰ってしまった
↓
その後、ご相談者が ゲーム機がいくらになるかを査定し お客さんに電話してみたが 繋がらないし、お店に来てくれない
↓
ゲーム機を実際に お店に売り物として出したり、 処分したいんだけど 連絡が取れないので どうしたらいいのかわからない…
という趣旨なのかなと思いましたので 今回はこの問題に出てくる 善管注意義務 (ぜんかんちゅういぎむ) つまり “他人の物を丁寧に扱う責任” というものについて わかりやすい言葉で 噛み砕いて説明したいと思います。
まず、 物を売ったり買ったりするときの 考え方について説明します。
みなさんもコンビニなどで 商品を買うことがあると思いますが みなさんが 「これください」 という意思を伝え、 お店側が 「はいわかりました」 という意思を伝えることにより 売買契約というものが 成立することになります。
そして基本的には 売買契約が成立したときに その物の所有権、 すなわち “自分の物と言える権利”が お店側からみなさんに 移転したことになります。
ですので 売買契約というのは 「いくらで売ります」という “申込みの意思”と、 「いくらで買います」という “承諾の意思”、 売主と買主の 両方の意思が合致して はじめて成立することになります そして、その段階で “自分の物と言える権利”が 買主に移転することになります。
では、 話をリサイクルショップに戻します。
まず、お客さん(Aさん)が お店にゲーム機を持ってきました そしてお店にゲーム機を渡して 「どのくらいの値段で 買い取ってくれますか」という 意思を伝えています。
この時点では、まだAさんしか 意思を伝えていないので 売買契約は成立していません
ゲーム機はお店の人に渡っていますが “自分の物と言える権利”は まだAさんに残っています。
そのあと、お店の人がたとえば、 「1万円で買い取ることができます」 とAさんに 意思を伝えたとしましょう。 お店側がAさんに 意思を伝えていますが この時点ではまだ 売買契約は成立していません。
Aさんとしては 1万円の値段に 納得しない場合もありますので お店側の 「1万円で買い取る」という意思を 断ることもできるからです。
したがって Aさんが 「1万円でぜひ買い取ってください」 という意思をお店側に伝えて はじめてゲーム機の売買契約が成立し “自分のゲーム機と言える権利”が お店側に移転する (=ゲーム機がお店の物になる) ことになります。
そうであれば、Aさんが 「1万円でぜひ買い取ってください」 という意思をお店側に伝えない限り お店の人の手元にあるゲーム機は まだAさんの物のままです。
つまり、お店側が Aさんのゲーム機を 預かったままの状態になっています。
この場合、 商法593条や 民法698条の解釈によって 善管注意義務 (ぜんかんちゅういぎむ) つまり “他人の物を丁寧に扱う責任” というのが お店側にあることになります。
したがって お店としては Aさんのゲーム機を 勝手に売ってしまったり 処分してしまうと あとでAさんから 弁償を求められる可能性が高いです。
リサイクルショップを 経営されている方にとって 難しい悩みだと思います。
“他人の物を丁寧に扱う責任” 簡単ではありますが ご理解いただけましたでしょうか。
次回は、
お店に商品を取りに来ない場合の
対処方法について
ご説明したいと思います。
0コメント