遺留分
前回の続きです。
いただいたご質問で 気を付けるポイントがあります。
それが 「遺留分」 (いりゅうぶん) というものです。
この「遺留分」、 わかりやすい言葉で 噛み砕い説明すると “相続ルールにより 遺産をもらえるはずだった家族が 受け取ることのできる 最低限の分け前” だと思ってください。
おさらいとして 順を追って説明します。
まず ①法律で決められた相続ルール があります。
その相続ルールより優先されるのが ②遺言の内容 です。
しかし、 この遺言より一部優先されるものが ③遺留分です。
①よりも②、 ②よりも③が優先される と思ってください。
具体的にどういうことなのか、 前々回のブログで説明した サザエさん一家で 説明します。
サザエさんが亡くなった場合、 サザエさんの財産は 誰がもらうかというと、 仮に遺言がなければ 夫であるマスオさんが2分の1、 子供であるタラちゃんが2分の1 もらえるはずでした。
しかし、 たとえばサザエさんが 遺言で 「全財産はカツオにあげる」 と書いてあったら どうなるでしょうか。
①法律で決められたルール (=マスオさんと タラちゃんが受け取る) よりも ②サザエさんの遺言 (=カツオくんが受け取る) が優先されることになりますので サザエさんの財産は 全部カツオくんが 受け取ることになっちゃいます。
ところが、 それを防ぐ例外というのが ③遺留分です。
サザエさんの財産をもらえなかった マスオさんとタラちゃんの 立場になって考えてみましょう。
サザエさんが(財産を カツオくんにあげるという)遺言を 残していることを 知らなかったマスオさんとしては 自分がサザエさんの財産を 相続することになるだろうと、 期待しちゃいますよね。
マスオさんは 「サザエの財産が ○○万円くらいあるだろうから、 老後は自分の預金と 残されているサザエの財産で 生活していけるだろうなぁ」 なんて考えているかもしれません。
ところがサザエさんは 遺言を残しており カツオくんに全部あげる内容だった。
マスオさんとしては 老後のプランがうまくいかずに 困ってしまいます。
法律は、そんな 相続人の地位にあったマスオさんを 多少は守ってあげようと 遺留分という制度を定めました。
つまり サザエさんの遺言で カツオくんに渡った遺産から 夫であるマスオさんが 相続ルールによりもらえるはずだった サザエさん財産の2分の1、の さらに半分(つまり4分の1)を 遺留分としてカツオくんから もらうことができるんです。
これにより カツオくんとマスオさん、 両方のバランスを 図ろうという制度となっています。
なので カツオくんの立場としては サザエさんからもらった全財産を パーッと遣ってしまうと あとでマスオさんから 請求を受けた場合 大変なことになってしまうから 注意が必要ですね。
Twitterのご質問に戻りますが もし、内縁の奥さんに 全財産を渡す内容の 遺言を書くのであれば 息子さんからあとで 遺留分を請求される 可能性があることを 内縁の奥さんに お伝えしておいたほうが いいと思います (または、 「息子の遺留分を除く全財産を 内縁の妻にあげる」という内容の 遺言にするなど)。
ちなみに 遺留分の請求は 時効(制限時間)等があります
ざっくり説明すると 相続開始を知ったとき (亡くなったのを知ったとき) から1年間です。
この1年の間にマスオさんが 遺留分の請求を受けなければ カツオくんはマスオさんに 受け取った財産の4分の1を 渡す必要はありません。
相続関係は本当にトラブルが多いです どうしても お金のことが絡んできますので 今まで仲良し家族だったのに 急に関係が変わってしまった… というケースのご相談・ご依頼を これまでたくさん受けてきました。
「ウチの家族に限って そんなことはないだろう」と 思ってしまうと大変なことになるので 気を付けてほしいと思います。
忙しい毎日を送っている中で なかなか時間が取れないですが 「もし明日、自分が死んだとしたら 残された家族が 自分の財産のことで 戸惑わないだろうか」 と考える機会を持ってみるのも 大切かもしれません。
ちなみにですが、 私自身、まだ平均寿命まで 何十年か残っていますが 遺書のような手紙は ちゃんと書いて残しています。
銀行口座が何個あるのか、 パスワードや保管場所も そこに書いて示してあります。
人間はいつ死ぬか 本当にわかりません。
頭ではわかっていても その事実を具体的にイメージして、 さらに死後のことを考えて 具体的なアクションを起こすことは 簡単なことではありません。
ですが 自分の大切な家族のため、 「いつかやろう」 ではなく ハッと思ったときに 具体的なアクションを 起こしておくことが とっっっても、 重要なことなんじゃないかな、 と思います。
私の拙い文章を読んで、 「そうだよなぁ… ちゃんとした“遺言書”とまでは いかなくても もし明日、自分が死んだとしても 家族が困らないように 手紙くらいは書いておこうかな」と 具体的なアクションを 起こしてくださる方が 1人でも いらっしゃってくださるのであれば 長々文章を書いた甲斐があります。
以上、 相続と遺言については これで終わりたいと思います
相続と遺言は 誰しもが 避けては通れないものですので またの機会に 説明できたらなと思います。
なるべく難しい言葉を 使わないようにと心掛けるがあまり 逆にわかりにくく なってしまったかもしれません。
また 専門家の方、 法律の勉強をされている方にとっては あまりに稚拙で 言葉足らずで 説明不足であることも 重々承知しております。
ただ、当ブログのコンセプトは まったく法律を知らない方にとって 少しでも興味を持っていただく きっかけになればと思い 始めたものですので どうかご容赦いただけばと思います。
0コメント