交通反則金制度

昨日、テレビ番組で 最近ニュースでよく見かける あおり運転や スピード違反などの 危険な運転行為について 僭越ながら 解説させていただきました。


 この件について わかりやすい言葉で 噛み砕いて説明したいと思います。 


 取り上げられたニュースとは 速度制限が時速100キロまでの 高速道路を なんと 時速235キロで走行していた というものです。


 交通事故にならなかったから よかったですが もし他のクルマにぶつかっていたら 大惨事になっていました。 


 ニュースによると 高速道路に設置されている オービス (自動速度違反取締装置) の画像で発覚したようです。 


 余談ですが オービス(orbis)は ラテン語で「眼」という 意味があるみたいです 違反者がいないか眼を光らせておく ということなんだと思います。


 さて、このスピード違反ですが 道路交通法という法律に 定められています。


 道路交通法22条は、 (1)決められている最高速度を 超えてはいけません とされています。


 つまり 決められている最高速度を 時速1キロでもオーバーしたら 本当はダメです。 


 そして、 決められている最高速度を 時速1キロでもオーバーした場合は、 (1)1ヶ月~6ヶ月の間で 裁判所が決めた期間、 刑務所に入って働いてください (2)または 1万円~10万円の範囲で 裁判所が決めた金額の 罰金を払ってください ということになります (道路交通法118条1項1号)。


 まとめると 時速1キロでも 速度をオーバーしてしまったら 刑罰を受ける可能性がある ということです。 さて、 ここでひとつ疑問が出ます。


 「あれ?ウチのお父さん、 この前スピード違反で 警察に捕まっちゃったけど 裁判所になんて行かなかったよ? なんか青い紙を渡されて お金の支払に行ってたけど 10万円も払っていなかったよ? えっ?てゆーか お父さんは犯罪者なの?」 大丈夫です お父さんは刑罰は受けません。


 そうでなんです スピード違反をした人が 裁判を受けることは少ないです。 


 先ほどの私が説明した (2)1万円~10万円の範囲で 裁判所が決めた金額の 罰金を払ってください というのは 文字のとおり「罰金」、 刑事処分というものです。 そして先ほどの話、 お父さんが青い紙 (青キップと言われています) を渡されて 支払ったお金は 「反則金」というもので 刑事処分ではなく 行政処分というものです。


 この行政処分は 交通反則金制度というものです。


 最初に説明したように 本来であれば 時速1キロでも オーバーしてしまったら 刑務所か罰金 (=刑事罰)になってしまいます。 しかし、 スピード違反をしちゃっているクルマ 正直たくさんあります。


 間違ってアクセルを踏みすぎて 時速5~10キロくらい オーバーすることも あると思います。 


 それを全部、警察が逮捕して 裁判をするということをすると 数が多すぎて 警察も裁判所も パンクしてしまいます。 


 スピード違反をしてしまった人も 警察の取調べを受けて 裁判を受ける…となると 物凄い時間がかかってしまい 大変です。 


 そこで、特別なシステムとして オーバーしたスピードが 時速30キロより低い場合 (高速道路では時速40キロ)は、 刑事罰である「罰金」ではなく 行政罰である「反則金」を 支払うことで、 裁判を受けて 前科がついてしまうことを 防ぐことができるのです。 


 逆に時速30キロ以上の スピード違反には 反則金のシステムはありません 

 いきなり 刑事手続の方向になります (赤キップと言われています)。 


 時速235キロだろうが 時速30キロオーバーだろうが 基本的には一緒です。 


 そこで刑事手続となった場合、 警察が ・どのくらいスピード違反したのか ・過去にも交通違反をしているか など、色々な事情を確認して 裁判をするのかしないのか 刑務所なのか罰金なのか を決めていくことになります。 


 当然ですが 時速235キロで走行していたほうが 印象としては最悪ですので より重い罪になっていく ということになると思います。 


 今後、変更があるかもしれませんが スピード違反の場合の 運転免許の点数と反則金を 書いておきます (運転免許は、点数が積み重なって 6点になると免許停止、 15点になると免許取消になります)。  

・時速1~14キロオーバー     反則金9,000円 点数1点      

・時速15~19キロオーバー     反則金12,000円 点数1点 

 ・時速20~24キロオーバー    反則金15,000円 点数2点 

 ・時速25~29キロオーバー    反則金18,000円 点数3点 

 ・時速30~49キロオーバー    罰金など(約6~8万円)点数6点   

・時速50キロ以上オーバー    罰金など(約7~10万円)点数12点 (※一般道の場合です)

Lawyer Takahiro Kitagawa

弁 護 士 北 川 貴 啓