親族間犯罪に関する特例

前回の補足です。 


 補足その1です。


 “犯人の身代わりになりました罪” (犯人隠避罪)ですが 平成28年に刑罰が重くなりました。


 以前は 1ヶ月~2年の間で 裁判所が決めた期間、 刑務所に入って働いてください または 1万円~20万円の範囲で 裁判所が決めた金額の 罰金を払ってください だったのですが 平成28年に 1ヶ月~3年の間で 裁判所が決めた期間、 刑務所に入って働いてください または 1万円~30万円の範囲で 裁判所が決めた金額の 罰金を払ってください に変わりました。


 世の中の声や時代背景 色々な事情によって 法律も時代に追いつこうと 変化していきます (その都度、我々としては 覚え直さなければいけないので 大変ですが…)。


 補足その2です。 力士が奥さんに対して 「身代わりになってほしい」 とお願いされて 奥さんは身代わりになった、 という前提でお話ししてきました。 


 奥さんとしては 自分の家族を助けたいという気持ちに なったと思うのですが これって、 すごくわかる気がしませんか。 


このブログをご覧になっている方も もし、知らない他人から 「犯罪しちゃったから 身代わりになってほしい」 とお願いされても 「いやです」 ってなりますよね。


 でも、もし、自分の家族から 「犯罪しちゃったから 身代わりになってほしい」 とお願いされたら どうでしょうか。 


 「大切な家族を守るためなら…」 と思って 自分が身代わり犯人になろうと 思ってしまう方も いらっしゃるかもしれません。 


 それなのに 罰を絶対に受けることになるのは なんだかかわいそうだな とも思えるわけです。


 刑法は そういった場合に 救いの手を差し伸べています。 


 それが 刑法105条 (親族による犯罪に関する特例) です。 刑法105条を噛み砕いて説明すると (1)犯人の家族が (2)その犯人を助けるために (3)身代わり犯人などになった場合は (4)有罪なんだけど 刑務所や罰金の刑を与えない 可能性があります ということになります。 


 つまり 今回の力士の奥さんも 身代わりになってしまったことは もちろん犯罪なんだけど 家族を助けようと考えたのだから 罰を与えないこともできます、 ということです。


 このように刑法は すべての犯人に対して 何でもかんでも 罰を与えようとしているわけではなくて 具体的な事情によっては 救ってあげる場合もあります。 


 親族間犯罪の場合の 特別例外、 ご理解いただけましたでしょうか。


 以上、 力士の無免許運転および 身代わり事件については これで終わりたいと思います。


 なるべく難しい言葉を 使わないようにと心掛けるがあまり 逆にわかりにくくなって しまったかもしれません。 


 また 専門家の方、 法律の勉強をされている方にとっては あまりに稚拙で 言葉足らずで 説明不足であることも 重々承知しております。 


 ただ、当ブログのコンセプトは まったく法律を知らない方にとって 少しでも興味を持っていただく きっかけになればと思い 始めたものですので どうかご容赦いただけばと思います。